交通事故で前科はつくのか?前科がついた場合の影響や回避する方法を解説!

交通事故で加害者となった場合、「前科」がつくのではないか心配になりますよね。

今回の記事では、前科がついた場合の影響や交通事故で前科がつく条件などを紹介します。

前科とは?

前科とは、過去に刑罰をうけた経歴を意味する用語です。

刑事事件を引きおこし、懲役刑や禁固刑、罰金刑をうけた場合に前科がつきます。

逮捕されただけで不起訴となった場合は前科がつきません。

逮捕された場合は前科ではなく「前歴」というものがつきます。

交通事故で前科がついた場合の影響

交通事故で前科がついた場合、「選挙権・被選挙権」、「国家資格」、「海外旅行(渡航)」に関して悪影響が生じます。

選挙権・被選挙権への影響

重大な交通事故を起こし、禁錮以上の刑を受けた場合、その刑が終わるまでのあいだは選挙権と被選挙権を行使できなくなります。

つまり選挙に投票したり、選挙に出馬できないのです。

参考:e-Gov 公職選挙法第十一条(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC1000000100_20180601_428AC0000000094&openerCode=1#132)

国家資格への影響

一部の国家資格については、禁錮以上の刑を受けた場合に資格を取得できなくなります。

たとえば弁護士資格に関しては、弁護士法7条に定められた欠格事由にて禁錮以上の刑に処せられた者がふくまれています。

参考:e-Gov 弁護士法第七条(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC1000000205#49)

海外旅行(渡航)への影響

一部の国への海外旅行(渡航)では、前科があることでビザの免除がうけられなくなったり、最悪の場合旅行や永住がみとめられなくなります。

たとえばアメリカの場合、交通事故により前科がついていると、ビザなしでは渡航できなくなります。

審査には数週間から数ヶ月かかる上に、渡航がみとめられない可能性もあります。

参考:在日米国大使館・領事館(https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/faq-list-ja/criminal-convictions-ja/)

就職への影響は?

交通事故をおこした際、就職への影響もきになりますよね。

結論からいうと、規定により一般の人が前科を調べることはできないため、自分から言わないかぎり前科の有無は知られません。

しかし履歴書に前科の有無を記載する場合には、嘘を書くと経歴詐称となるおそれがあるため、正直につたえる必要があります。

正直につたえることで就職に不利になるおそれはゼロではないので、なるべく交通事故による前科はさけるべきです。

参考:犯歴事務規定第13条 法務省(http://www.moj.go.jp/content/000111421.pdf)

交通事故で前科がつく条件

交通事故で前科がつく条件には、主に「①人身事故により自動車運転処罰法が適用された場合」と「②運転者としての義務をおこたり道路交通法違反が適用された場合」のふたつがあります。

①人身事故により自動車運転処罰法が適用された場合

過失(前方不注意など)により人身事故を起こすと、「過失運転致死傷罪」により7年以下の懲役または100万円以下の罰金刑が下されます。

また、危険な運転行為(薬物の使用等)により人身事故を起こすと、より重い「危険運転致死傷罪」が適用され、15年以下の懲役刑が下されます。

②運転者としての義務を怠り道路交通法違反が適用された場合

運転者としての義務を怠った際には「道路交通法違反」により前科がつく可能性があります。

具体的には、飲酒運転やひき逃げ、当て逃げ、無免許運転などにより交通事故を起こした場合に、道路交通法違反で前科がついてしまうかもしれません。

参考:e-Gov 道路交通法(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000105)

交通事故の前科は消えるのか?

交通事故などによる前科は、市区町村が作成する「犯罪人名簿」と検察庁の保管する「前科調書」に記録されます。

結論からいうと前者は一定期間で取り消され、後者は記録として一生のこります。

前科があると社会復帰において妨げとなる可能性があります。

そこで刑法34条の2では「刑の消滅」を規定し、禁錮以上の刑では刑の終了から10年、罰金以下の刑では刑の終了から5年の間、ふたたび罰金以上の刑に処せられなければ刑の法的効力が消滅するとしています。

この期間を過ぎれば犯罪人名簿の前科は消滅し、選挙権などの権利が復活します。

一方で前科調書の前科はのこるため、再犯時の量刑が重くなるなどの影響がでます。

参考:e-Gov 刑法(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045#233)

交通事故で前科がつくことを回避する方法

交通事故による前科を回避するには、弁護士が被害者の過失を証明したり、被害者側との示談を成立させることで、不起訴処分を獲得する方法が有効です。

とくに交通事故では、被害者との示談の有無が起訴・不起訴の判断に大きな影響をおよぼします。

したがって、交通事故を起こしたらいち早く弁護士に連絡し、示談の方向にもっていくのが最良の手段と言えるでしょう。

まとめ

主に飲酒運転などの過失や危険行為により交通事故を起こすことで、前科がつく可能性があります。

交通事故で前科がつくと、選挙権や国家資格を取得できなくなったり、就職で不利益をこうむる場合があります。

こうした事態を避けるためにも、交通事故を起こしたらすぐに弁護士に相談するのがオススメです。

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