被害者請求
交通事故用語集に戻る→自賠責保険において、交通事故の被害者は、加害者が加入している自賠責保険会社に対して直接損害賠償額を請求することができます(自賠法第16条1項)。
このことを被害者請求といいます。
被害者が治療中で損害賠償額が確定する前でも被害者請求をすることができます。
①本請求
被害者が加害者から損害賠償を受けていない場合に、被害者ご自身が直接自賠責保険会社に対して損害賠償を請求することをいいます。
そして、被害者に対して支払いがなされた金額は加害者が賠償したものとみなさることになりますが、請求をしたからといっても加害者と示談が成立したことにはなります。
なお、自賠責保険の支払額について、加害者が負担すべき損害額に満たない場合には、被害者はその差額を加害者に対して別途請求することもできます。
自賠責保険は被害者に死傷による生じた損害を対象とするものであり、政令において、支払限度額が定められています。
自賠責保険の支払限度額は、分類毎に、以下のとおり、となります。
- 傷害に関する損害は、120万円が上限となります。
- 後遺障害に関する損害は、その等級に応じて、75万円から4000万円に分類されています。
- 死亡事故に関する損害は、3000万円が上限となります。
②仮渡金請求
被害者が加害者から損害賠償を受けていない場合において、治療費用など急な出費に対応しなければならないときなど当座の費用に充てるために、被害者ご自身が自賠責保険会社に対して損害賠償額に一部を請求することをいいます(自賠法第17条)。
これにより被害者は支払いを迅速に受けられることになりますが、後日損害賠償額が確定した場合には、被害者に対して支払いがなされた金額は損害賠償額から控除されることになります。
仮渡金の金額は、次のとおりになります。
1.死亡された場合・・・・・・・・・・・290万円
2.以下のいずれかの傷害を受けた場合・・・40万円
⑴ 脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの
⑵ 上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの
⑶ 大腿または下腿の骨折
⑷ 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの
⑸ 14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
3.以下のいずれかの傷害を受けた場合・・・20万円
⑴ 脊柱の骨折
⑵ 上腕または前腕の骨折
⑶ 内臓の破裂
⑷ 14日以上病院に入院することを要する傷害
4.医師の治療が11日以上要する障害・・・・5万円