上肢
上肢(肩から先の腕全体)にケガを負ってしまうケースをご紹介します。
腕の骨折や関節の脱臼、その後の痛みなどのほか、腕の一部を失ったり、腕を自由に動かせなくなったりすることなどが挙げられます。
また肩や鎖骨部分の骨折も、このカテゴリーに含まれます。
交通事故のケガとしては、全体の約15%を占め(年によってやや変動します)、圧倒的に多い頸部(約50%)を除くと、頭顔部や下肢などと同じ程度に多く発生しています。
具体的には、次のような症状となっている方が多いようです。
◇腕や手、指を失ってしまった
◇肩や腕の骨(鎖骨も含む)が折れてしまった、変形してしまった
◇肩や腕を動かしにくくなった
◇肩や腕を動かすと力が入らなかったり、違和感を覚えたりする
◇肩や腕を動かすと痛みが走るようになった
◇肩を脱臼しやすくなった
◇肩や腕がこりやすくなったり、だるさを感じやすくなったりした
◇腕や手の感覚がない、しびれる
◇腕や手をうまく動かせなくなった
◇腕や手の曲げ伸ばしをしにくくなった
◇手のひらの上下を返しにくくなった
◇腕や手で、関節でない部分が曲がってしまった
そのほか、ケガの内容によっては、頭痛や吐き気、耳鳴り、物が二重に見えてしまう……など、上肢以外の部分の症状となって現れてしまうこともあります。
腕に痛みや機能障害などを残した場合
関係してくる自賠責保険の後遺障害等級の認定基準は次の二つです。
▽第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
▽第14級9号 局部に神経症状を残すもの
頸部でご紹介した「むち打ち症」と全く同じ基準で、認定をめぐって争いが起きやすいところです。
12級と14級では、受け取れる慰謝料には差があり、「頑固な」というところが認められるどうかで結果が変わってきます。
腕が変形したり一部を失ったりした場合
同じ腕のケガでも、変形したり一部を失ったりしたケースでは、客観的な事実やデータによって証明されることが多く、第10級10号と第12級6号の組み合わせを除くと、等級認定をめぐる争いは比較的少ないです。
▽第4級4号 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
▽第5級4号 上肢を手関節以上で失ったもの
▽第5級6号 1上肢の用を全廃したもの
▽第6級6号 上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
▽第8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
▽第10級10号 1上肢の3大関節中の1関節に著しい障害を残すもの
▽第12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
また現実には少ないケースですが、例えば「腕を失った」などの例は、より重い第1級、第2級といった基準が適用されます。
▽第1級3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
▽第1級4号 両上肢の用を全廃したもの
▽第2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの