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頸部

交通事故で、最も多いのが「頸部」に傷を負うケースです。

いわゆる首の部分ですが、首には頭を支える背骨(頸椎=けいつい)が通っているため、ここにショックが加わると、首や頭、背中に痛みが残ったり、身体を自由に動かせなくなったりするなど、深刻な影響が及びます。

例えば背骨を捻挫する「むち打ち症」、背骨が変形してしまうことによる「変形障害」「運動障害」、果ては脊髄を損傷してしまうことによる「全身まひ」「半身まひ」といった重い症状まで、実に様々です。

交通事故のケガでは圧倒的に多く、全体の半分近くを占めています。

「頸部」のケガは、程度が客観的な数字やデータで示されないことがほとんどです。

したがってその認定程度をめぐっては、被害者と加害者の間で争いが生じることがよくありますので、弁護士にご相談いただくことが必須です。

むち打ち症(頸椎捻挫、頸部損傷など)

事故で衝撃を受けて首や背中が痛む「むち打ち症」は、交通事故で最も多いケガの一つです。

むち打ち症というのは正式名ではなく、実際には「頸椎捻挫」「頸部損傷」などと診断されます(ただし、腰の部分がむち打ちとなる「腰椎捻挫」もあります)。

この症状をめぐっては、以下の基準で争われることが多いです。

▽第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
▽第14級9号 局部に神経症状を残すもの

12級と14級では、受け取れる慰謝料には差がありますが、この差は「頑固な」という抽象的な一語が認められるどうかにかかっています。

こうした抽象的なことでも、弁護士にご相談いただければ、客観的な事実や証拠を集めて立証することができ、被害者の方の利益につなげることができます。

背骨の変形(脊柱変形)、身体の自由度低下(運動障害)など

事故の衝撃で背骨が変形してしまった場合、あるいは背骨が損傷して身体を自由に動かせなくなってしまった場合、以下のような基準が考えられます。

▽第6級5号 脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの
▽第8級2号 脊柱に運動障害を残すもの
▽第11級7号 脊柱に変形を残すもの

この場合も「著しい」という一語が認められるかどうかが、基準の分かれ目となっています。

それが認められる第6級と認められない第11級では、金額に比較的大きな差が出てしまうのです。

脊髄の損傷

背骨には、脳からの指令を全身に伝える「脊髄」が通っています。

この脊髄を一度損傷してしまうと、再生する可能性は極めて低く、身体を自由に動かせなくなる「全身まひ」「半身まひ」といった重大な後遺症を招くことがあります。

そうした脊髄損傷のケースでは、以下の基準が該当します。

▽第5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に簡易な労務以外の労務に服することができないもの
▽第7級4号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、簡易な労務以外の労務に服することができないもの
▽第9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
▽第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの

つまり「神経系統の機能又は精神」に障害が残る点は共通しているのですが、その影響がどの程度残っているかをきちんと立証できるかどうかが、結果を大きく左右します。

例えば同じような事故の同じようなケガでも、例えば「特に簡単な労務以外の労務ができない」とされた場合(第5級)と「簡易な労務以外の労務に服することができない」(第7級)とされた場合では、受け取れる慰謝料は違います。

しかしケガで「一生を狂わされた」という点では、どちらも変わらないと私たちは考えています。

だからこそ、少しでも重い認定を取り、受け取れる慰謝料を増やせるように力を尽くします。

「寝たきり」になってしまう場合

ケガを負って命はとりとめたとしても、最悪の場合は「寝たきり」になってしまうことがあります。

ケースとしてはあまり多くありませんが、脊髄を大きく損傷してしまうと、「手足すらほとんど動かせない」「起き上がることもできない」「食事や排便も自力でできない」といった、極めて重い後遺症を負ってしまいます。

こうなると、ご家族が常に付き添って介護をする必要があり、ご本人はもちろんのこと、ご家族もほぼ一生にわたって、心身両面で重い負担を強いられることになります。

これらは、以下のような第1級、第2級、第3級の基準に該当します。

▽第1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
▽第2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
▽第3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

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