損害額の算定について
交通事故の被害に遭って、その後相手方の保険会社から示談の提案書が送られてきたとき、果たしてその金額が適正な金額なのか分からないという被害者の方も多いことだろうと思います。
交通事故の専門知識のある弁護士でなければ、休業損害、逸失利益、慰謝料など、適正に判断できない損害の項目が多くあるので、戸惑うこともあると思います。
そこで、休業損害、逸失利益、慰謝料について、裁判基準による算定方法を以下のとおり説明します。
もし、保険会社から提示された賠償額に不満を感じたり、納得できないときには、まず当事務所の弁護士に相談してください。
被害者の方が適正な賠償金を受けることができるよう、全力でサポートします。
1 休業損害
休業損害とは、被害者が交通事故により受けた傷害が治癒または症状固定するまでの療養の期間中に、傷害及びその療養のために休業し、または十分に稼働することができなかったために生じる収入の喪失のことをいいます。簡単に言えば、交通事故の傷害による収入の減少をいいます。
一般的に、休業損害の算定について、計算式は次のとおりとなります。
【計算式】
交通事故前の収入の日額 ✕ 交通事故発生日から症状固定日までの休業日数 - 休業中に賃金等の一部が支払われた場合の支払額
2 逸失利益
⑴ 後遺障害による逸失利益
後遺障害が残存した場合における逸失利益とは、被害者に後遺障害が残り労働能力が減少するため、将来発生するものと認められる収入の減少のことをいいます。
交通事故前の収入額に、後遺障害に応じた被害者の労働能力喪失の程度に、その状態が継続する期間の年数に応じた中間利息の控除を行います。
そして、労働能力喪失期間は、一般的に67歳をその終期とされます。
一般的に、後遺障害による逸失利益の算定について、計算式は次のとおりとなります。
【計算式】
基礎収入 ✕ 労働能力喪失率 ✕ 労働能力期間の年数に応じた中間利息控除に関するライプニッツ係数
交通事故で死亡した場合における逸失利益は、被害者が死亡しなければその後の就労可能な期間において得ることがと認められる収入のことをいいます。
算定にあたって、支出されたであろう生活費を控除し、就労可能な期間の年数に応じた中間利息控除を行います。
そして、労働能力喪失期間は、一般的に67歳をその終期とされます。
一般的に、死亡による逸失利益の算定について、計算式は次のとおりとなります。
【計算式】
基礎収入 ✕ (1 - 生活費控除) ✕ 就労可能期間の年数に対応するライプニッツ係数
3 慰謝料
交通事故で被害に遭った場合、傷害を負った場合や後遺障害が残った場合には、被害者が受けた精神的苦痛に対する填補として慰謝料請求が認められます。
そのうち、入通院慰謝料(または傷害慰謝料といいます。)とは、被害者が負った傷害の症状が固定するまでのもののことをいいます。
そして、後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残存したことによるもののことをいいます。
また、被害者が交通事故で死亡した場合には、死亡慰謝料が認められます。
⑴ 入通院慰謝料
入通院期間を基礎として、「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準 (公財)日弁通交通事故相談センター東京支部」(実務上「赤い本」と呼ばれています。)の別表Ⅰに基づいて、算定されます。
他覚症状のないむち打ち症等については、「赤い本」別表Ⅱに基づいて、算定されます。
また、被害者が交通事故発生後に治療を受けた場合に、その後死亡したときにも、死亡慰慰謝料とは別に傷害による慰謝料が認められます。
⑵ 後遺障害慰謝料
自賠法施行令別表第1または別表第2の後遺障害に該当するときには、「赤い本」を基準として、次のとおりとなります
第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円
⑶ 死亡慰謝料
被害者の家庭における地位に基本的な考慮要素として、年齢や事故態様等の諸般の事情を考慮して算定されることになります。
実務上、「赤い本」の基準に依拠して算定されます。
一家の支柱 2800万円
母親、配偶者 2400万円
その他 2000万円~2200万円