加害者が未成年者であったときの交通事故について
損害賠償請求は交通事故の加害者である未成年の両親に対して行う
加害者が未成年者であったときには、未成年者は資力がないことが多いため、未成年者の両親に対して損害賠償を請求することが考えられます。
まず、加害車両が両親の所有する自動車であれば、自賠責保険なども両親が契約しており、親子で乗車していたときには、両親自身が加害自動車について運行支配を有し、運行利益を得ている者(運行供用者)にあたるので、両親が運行供用者として自賠法3条による責任を負うことになります。 ただし、損害賠償の範囲は、人的損害に限られ、物損は対象外となります。
未成年者の年齢によっても違いが
次に、未成年者に責任能力がない場合には、民法714条に基づいて、未成年者を監督すべき義務がある者に対して責任を追及することが考えられます。
ただし、責任能力の有無について、裁判例では12歳以下は否定し、13歳以上は肯定する傾向にありますので、未成年者が12歳以下であるときに限り、親権者などの監督義務者に損害賠償請求をすることになります。
最後に、未成年者に責任能力がある場合で、個人賠償責任保険も付けていないときには、被害者は賠償金を確保できないことになってしまいます。
この場合には、監督義務者が未成年者に対して自動車運転を容認するにあたり交通規則を遵守するよう指導する注意義務に違反したとして、民法709条に基づいて、監督義務者に損害賠償請求をすることが考えられます。ただし、注意義務違反や交通事故との相当因果関係の有無などの立証について、実務上難しい事案となります。